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カテゴリ:「多摩丘陵の家」( 1 )

2019年 02月 01日
多摩丘陵の家 改修工事
昨年4月、築42年の魅力的な木造住宅に出会う機会を頂いた。
生まれ育った愛着のある住まいをなんとか住み継ぎたい!とクライアントから改修相談があった。

敷地は小田急線鶴川駅から徒歩20分程の丘の上、多摩丘陵の豊かな緑が残る地域にある。
外観の端正な姿、開口部の清々しさ、壁や天井の丁寧な板張りなどを見て「残したい建築」だと感じた。
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解決すべき課題は大きく3つあった。
①そもそも現実的な撰択なのか?という判断。
住み継ぎたい気持ちはあるが、10年程空き家としており、それなりの修繕や改修費用が必要となる。
直し始めればきりがないし、中途半端だと住み続けるにも不安が多く残る。
住み継ぐ価値がある!と思える丁度良い落とし所にたどり着けるのか?
手探りで進んでみないと判断できない状況があった。

②冬の寒さの克服
「冬のあの寒さを想像するとさすがに今は住めないです!」クライアントの実感がある。
それはそのはず、壁や天井、木サッシ廻りの気密はほぼ無い。
だるまストーブを炊けど隙間から入る冷気が足元を冷やし、消すと室温が外気温に近くなる。
夏は涼しいが冬はコタツで我慢の昔ながらの気密なき建物構成。
費用を抑えつつ、どの程度の断熱気密を担保していくか。
果たして暖かさを感じる心地良い暮らしを実現できるのか。

③建物の原型を残すこと
家づくりや暮らしに愛情を注いだ亡き母の感性を大切に引き継ぎたい!クライアントの強い思いがあった。
杉板張りの壁や天井、ナラ材フローリングなどの仕上げ、開口部枠廻りのディテールなども出来るだけそのまま残すのが前提。新たに付加するものに対しても、とても慎重な眼差しがあった。

クライアントや工務店と協議を重ね、落とし所を探り、現実的かつ魅力的バランスで改修計画がまとまった。
昨年12月半ばから工事が始まり、2月半ばの完了に向け現場が進んでいる。

今回のプロジェクトを通し「残したい建築を次世代につなぐには何が必要かを考える機会を得た。
今後、有用と感じた経験や情報は多くの方と共有していきたい。

自身と同年齢の建物が今後どのように住み継がれていくのか、自分事のように楽しみである。
(冨田享祐)


by han-arc | 2019-02-01 07:21 | 「多摩丘陵の家」