2017年 11月 23日
「九十九里の家」排熱フレーミング高窓
北側の部屋(3箇所)の腰高位置に高さ1.8mの引違い窓を設置、室内側には格子棚や化粧格子を取付けました。
隣地の荒れた庭を魅力的な風景として活かしつつ、通風、排熱、夜間換気といったパッシブデザインの工夫もローコストで効果的に実現出来ました。
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LDKから続くワークスペース。
引違いサッシの手前に格子飾棚がついている

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寝室からの風景。
こちらは引違いサッシの手前に化粧格子を設置

◾️「排熱フレーミング高窓」
計画に際し考えたことを共有しておきます。
この窓は下記(☆印)に挙げた様々な考え、条件、状況から生まれました。
☆敷地周辺環境を生かす
敷地周辺は別荘として使われている建物も多く点在します。敷地北側にも建物と大きな庭があり、緑がジャングルのようです。ただ、5年以上使われていないのか、荒れ放題な雰囲気・・・。
そこで、樹脂サッシの枠を隠すよう室内側に木製の格子棚でフレーミングすることで贅沢な緑の風景に!

☆パッシブデザインの骨格をつくる
(排熱、通風、夜間換気、夜間蓄熱などを効果的に組み合わせる)
今回の計画は南傾斜の緩やかな片流れ屋根の計画なので、暖まった空気は北側の天井付近に溜まっていきます。
夏にこの暑い空気を室内にとどめておくと、この熱が家の壁や天井などに蓄積、夜まで室温が下がらず大変!
しかし、窓が天井面ぎりぎりについていて気軽に開閉可能であれば、熱い空気はそのまま排出出来ます。
他にも夜間換気や夜間蓄冷など、色々ありますが今回は割愛させて頂きます。

☆建主の思いを重ねる
設計中、ご夫婦がたまたま訪れたホテルで、「格子の飾棚で切り取られた庭の風景」を目にし、「今回の計画でも採用できますか?」とご提案頂いた。

☆性能とコストのバランスを見極める
規格サイズの引違い樹脂サッシを活用すると、比較的安価に大開口が出来ます。
今回の仕様↓
□YKKAP-APW330 掃出し引違いH=1.8m(今回1.5間と1間が2箇所)、 断熱LoW-Eアルゴンガス入、樹脂スペーサー仕様
※このシリーズだとクレセントの位置を下げる変更が出来ないので、使い勝手が課題!

☆断熱ブラインドと組み合わせて性能を補完する
いくらサッシの性能が高いといえども、北側に大きな窓をとると冬の熱損出やコールドドラフトで「寒い」と感じやすい状況が生まれます。
そこでよく使うのが「ハニカムサーモスクリーン」。空気層が2重の構成で断熱性能が高く、デザイン的にも優れています。
※両サイドに断熱レール(空気の流れを止めるレール)を採用すると体感的にかなり効きますが、今回は比較的温暖地の為断熱レールはつけない方針としました。この判断はいつも迷うところですが、かなり詳しくなりすぎるのでいずれ別記事で書こうと思います。

☆地域気候に合わせて考える
今回は比較的温暖な地域ですので、北側大開口に「樹脂サッシLoW-Eペアガラス」を採用しました。
もっと寒冷地となれば、北側の窓は性能の高いトリプルガラスにする、窓の面積を小さくするなどの判断になったと思います。
そしてハニカムサーモスクリーンも「断熱レール仕様」にします。

上記は主なものですが他にもいくつか・・・。
色々と挙げましたが、この中でこれが一番大事で次は・・・、というふうに決まっている訳ではありません。
まとまりもなく申し訳ありませんが、本当に色々なことの総合判断で決まります。

開口部に限らず、自分の試行錯誤や迷いを設計仲間や建主、つくり手の方たちと共有した時に、魅力的な解決策が「ポン」と出ることが多いです。
私が色々検討し提案した「排熱高窓」に建主のホテルでの体験が加わり、魅力が数倍増した「排熱フレーミング高窓」が生まれました。
自分の考え、知見、経験を飛び越え、関係者各々のフィルターも通り、これが最善!と思える解決策はとてもシンプルだったりします。

勝手に名付けた通称「排熱フレーミング高窓」もなんら特別なことをしている訳ではありません。しかし、今後とても重宝する魅力的な解決方法だなと感じています。
このような解決案を多くの方と共有、改良、そして丁寧に積み重ねていければと思います。
(冨田)


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by han-arc | 2017-11-23 13:21 | 九十九里の家


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